遺言書(自筆証書遺言と公正証書遺言)の違いと書き方のポイント

遺言書とは

遺言書とは、
 ①元気なうちに、
 ②ご自分が亡くなった後に
 ③ご自分の財産を
 ④誰にあげるか
を遺 (のこ)しておく書面です。

①元気なうちに

遺言は、頭が元気(認知症ではない等)なうちでなければ遺すことができません。

体も元気でなければ遺言書を遺そうという気力もでないかもしれません。

『思い立ったら吉日』です。

②ご自分が亡くなった後

遺言書に「預貯金を長男にあげる」と記載していても、亡くなる前に急に必要な出費があって、預貯金を使い切ってしまうこともあります。

遺言書と事実に相違が生じますが、遺言書そのものが問題になることはありません。

ただ、相続人はガッカリするかもしれませんが・・・。

③ご自分の財産

現金・預貯金・不動産はプラスの財産ですが、借金等もマイナスも財産です。

マイナスの財産の記載は注意が必要です。(詳しくは当事務所にご相談ください)

④誰にあげるか

遺言書には、法定相続人(民法で定められた相続人)以外の人にも財産を残したい場合、遺贈を記すことができます。

遺贈の相手は、内縁の妻や長男の嫁、介護でお世話になった人など、特に制限はありません。

遺言書を遺す理由

遺言書は、残される人達への最後の手紙のようなものです。

「相続手続きで相続人に揉めてもらいたくない」
「相続税のことを考えて、財産をあげたくない相続人がいる」

等、理由は様々あります。

当事務所では、お亡くなりなった後にできるだけ円満に進められるような遺言書のご提案を心がけております。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いと書き方のポイント

遺言書を遺す場合、自筆にて作成する自筆証書遺言と、公証役場で作成してもらう公正証書遺言・秘密証書遺言の2種類の方法があります。

それぞれにメリットやデメリットがあります。(詳しくは当事務所にご相談ください)

自筆証書遺言

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言書は、本文(遺言内容を記した全文)は自筆(手書き)、日付を記入、署名・押印するといった法律上の要件を遵守しなければなりません。

しかし、財産目録については本文とは別に、パソコンでの作成や通帳コピーの添付などが認められるようになりました。

ただし、全てのページに署名・押印が必要です。

これらに誤りや不備があると、法律的には有効ではない遺言書になるおそれがあります。

市販の遺言書作成キットもありますが、自筆で作成される場合は専門家(当事務所等)に確認されることをお薦めします。

自筆証書遺言の注意点とポイント

財産の内容は正確に記してください。また、遺言執行者を指定し、その報酬についても書いておくことをおすすめします。

ご家族や財産を渡される方々へ伝えたい気持ち、遺言書を書いた経緯などの想いを、付言事項として遺すことができます。

法的効力はありませんが、相続が円満に進められるようになります。

自筆証書遺言の保管方法

自筆証書遺言の保管には、ご自宅での保管や、遺言執行者などの専門家に預けるといった方法がありますが、専門家などに預けられる場合は、相続が開始されてすぐに預けた方へ連絡がいくようにしなくてはなりません。

可能であれば、遺言書の保管場所や預けた方の連絡先を、身近にいらっしゃる信頼できる方に伝えておくと良いでしょう。

また、2020年7月10日から法務局でも保管できます。

遺言者の住所、または本籍地、あるいは遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所に、遺言者が自ら出向いて、保管の申請をします。

また、法務局に保管した遺言書は、紛失時、写しの再発行ができます。

検認手続き

法務局の制度を利用せずに保管していた自筆証書遺言は、遺言者がお亡くなりになった後、家庭裁判所での検認手続きが必要です。

また、封がされていた場合は勝手に開封してはなりません。

公正証書遺言

公正証書遺言の書き方(作成の流れ)

お近くの公証役場を調べ、公証人に連絡を入れます。

担当の公証人が決まりましたら、原案を作成するため打ち合わせを重ねます。

ここで、ご自身の財産を誰に遺すのか、整理いただいていた内容をもとに公証人と相談します。

公正証書遺言の注意点とポイント

公証役場への訪問が困難であれば、自宅や病院、介護施設などで作成することもできます。

ただし別途、公証人の交通費や日当がかかりますので、公証役場にご確認ください。

自筆証書遺言同様に、法的効力はありませんが付言事項として、ご家族や財産を渡される方々へ伝えたい気持ち、遺言書を書いた経緯などの想いを遺すことができます。

公正証書遺言の保管方法

公正証書遺言には、原本と、その写しである正本・謄本があります。

遺言書の原本は公証役場に保管されます。

同時に正本と謄本が本人に交付されますが、正本は原本と同等の効力をもつものなので、大切に保管しましょう。

万が一紛失してしまった場合は、公証役場に再発行を請求することができます。

ただし、遺言者がご存命中は、本人以外は申請することができません。

お亡くなりになった後は、相続人や受遺者などの利害関係者(またはその委任状をもった遺言執行者などの代理人)は、公証役場に遺言書の有無を問い合せることができるほか、謄本を請求することができます。

請求の際には請求者の身分証明や遺言者との関係を確認する書類などが必要になりますので、詳細は公証役場にご確認ください。

ご自分で保管するのが不安であれば、遺言執行者など専門家に預けましょう。

その場合は、相続が開始されてすぐに預けた方へ連絡がいくようにしなくてはなりません。

預けた方の連絡先は、可能であれば身近にいらっしゃる信頼できる方や、知人に伝えておきましょう。

なお、遺言執行者に正本や謄本を預けていない場合も、公正証書遺言を遺されている旨は伝えておき、相続開始時には身近な方や通知人から連絡してもらいましょう。

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