相続放棄の「3ヶ月ルール」とは

〜相続放棄の手続き・費用・メリットとデメリットを分かりやすく解説〜

🔸相続放棄とは

相続人が、亡くなった方の権利と義務を引き継ぐことを拒否することです。

🔸相続放棄の「3ヶ月ルール」とは

相続放棄を行うことができる期間(熟慮期間)は、
相続の開始があったことを知った時(※)から3ヶ月以内と定められています[民法第915条]。


相続放棄する場合は、この3か月が経過するまでに、
裁判所に対して相続放棄の申述書を提出する必要があります。
※よくあるケースは、被相続人であるご両親などが亡くなられた日が、
『相続の開始があったことを知った時』になります。

🔸とてもとても大事な質問

Q. 被相続人が亡くなられてから、3ヶ月が経過していますか?していませんか?

はい、3ヶ月が経過しています →【相続放棄の手続きをせず、3ヶ月が経過した場合】へ
いいえ、まだ3ヶ月経っていません →【相続放棄の注意点と2つの方法】へ

相続放棄の手続きをせず、3ヶ月が経過した場合

相続放棄の手続きをしないまま3ヶ月間の期間を過ぎてしまうと、
原則として、プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐことになってしまいます。

しかしこれまでに、3ヶ月を過ぎてから初めてマイナスの財産が見つかった場合でも、
相続放棄が認められるケースがあります。

とはいえ、どのような場合に相続放棄が認められて、
どのような場合に認められないのかは専門的な法的知識が必要で、
また一概に判断できるものでもありません。

相続問題に詳しい弁護士をご紹介しますので、まずはご相談ください。

🔸相続を放棄する際の注意点と2つの方法(手続き、費用、メリットデメリットなど)

【注意点】

相続放棄の手続きをしてしまうと、あとでそれを撤回することはできません!

3ヶ月という期間は非常に短く、どうしても焦りが生じてしまいます。
マイナスの財産が見えていたとしても、よく調べてみたら、
それを上回るプラスの財産が見つかるというケースも多くあります。

焦って早々に相続放棄をして、結果的に損をすることになる危険もありますので、
まずは専門家にご相談することをおすすめします。

【遺産を相続しない方法には2種類ある】

①相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に『相続放棄申述書』を提出する
②遺産分割協議に参加して『遺産分割協議書』に署名捺印する

①『相続放棄申述書』を提出

家庭裁判所における相続放棄は、家庭裁判所で相続放棄の申述を認めてもらい
「はじめから相続人ではなかった」扱いにしてもらう手続きです。

一切の相続権がなくなるので、後にプラスの財産が判明した場合も、
マイナスの財産が判明した場合も、取得もできないですし、負担もする必要もなくなります。

メリット

相続放棄すると借金などのマイナスの財産を相続せずに済みます。
もし債権者から請求されたとしても、「相続放棄した」といって支払いを拒否できます。
また、他の相続人と連絡を取る必要はなく、単独で手続きできます。

デメリット

相続放棄には3ヶ月以内という期限があり、
家庭裁判所で手続きをしなければならないので面倒です。
また後順位の相続人に権利が移るケースでは、
黙って手続きすると親族関係に亀裂が発生する可能性もあります。

②『遺産分割協議書』に署名

遺産分割協議に参加して、自分は「相続財産を取得しない」と意思決定し、
他の相続人全員の合意を得た上で遺産分割協議書に署名捺印することで、相続を放棄する方法です。

但し、マイナスの財産については気を付ける必要があり、債権者には主張できません。
この方法は、パターン1と異なり、協議書に署名しても相続人のままですので、
後にプラスの財産が判明した場合やマイナスの財産が判明した場合は取得はできますが、
負担もする必要があります。

メリット

遺産分割協議で相続分を放棄する場合、家庭裁判所での手続きは不要なので簡単です。
期限がないため、いつでも放棄できるというメリットがあります。

デメリット

遺産分割協議で相続分を放棄しても、
借金・未払い家賃・滞納税などのマイナスの財産を免れる効果はないので、
債権者から督促されたら支払わなければなりません。

また、他の相続人と話し合わねばならず、1人では放棄できません。

まとめ

相続放棄を検討する場合は、慎重に行う必要がありますし、
期限もありますので、ご検討されている方は速やかにご相談ください。

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